決議23−34
社会奉仕に関する1923年の声明
  社会奉仕に対するロータリーの方針は、1923年国際大会で採択され、以後の国際大会で改正された次の声明に述べられている。
    ロータリーにおいて社会奉仕とは、ロータリアンのすべてがその個人生活、事業生活、および社会生活に奉仕の理想を適用することを奨励、育成することである。
    この奉仕の理想の適用を実行することについては、多くのクラブが会員による奉仕にその機会を与えるものとして、さまざまな社会奉仕活動を進めてきている。
    以下に掲げる諸原則は、ロータリアンおよびロータリー・クラブの指針として、また、社会奉仕活動に対するロータリーの方針を明確に表すものとして適切であり、また管理に役立つものであることを認め、これを採用するものである。
     
  1) ロータリーは、基本的には、一つの人生哲学であり、それは利己的な欲求と義務およびこれに伴う他人のために奉仕したいという感情とのあいだに常に存在する矛盾を和らげようとするものである。この哲学は奉仕−「超我の奉仕」の哲学である。
     
  2) 本来ロータリー・クラブは、事業および専門職務に携わる人の代表として、ロータリーの奉仕の哲学を受入れ、次の四つのことを実行することを目指している人々の集まりである
    1. 奉仕の理論が職業および人生における成功と幸福の真の基礎であることを団体で学ぶこと
    2. 自分たちのあいだにおいても、また地域社会に対しても、その実際例を団体で示すこと
    3. 各人が個人としてこの理論をそれぞれの職業および日常生活において実践に移すこと
    4. 個人として、また団体としても大いにこの教えを説き、その実例を示すことによって、ロータリアンだけでなく、ロータリアン以外の人々のすべてが、理論的にも実践的にも、これを受入れるように励ますことである。
       
  3) RIは次の目的のために存在する団体である
    a) ロータリーの奉仕の理想の擁護、育成および全世界への普及
    b) ロータリー・クラブの設立、激励、援助および運営の管理および
    c) 一種の情報交換所として、各クラブの問題を研究し、また、強制でなく有益な助言を与えることによって各クラブの運営方法の標準化を図り、社会奉仕活動についても、既に広く多くのクラブによってその価値が実証されており、RI定款に掲げられているロータリーの綱領の趣旨にかない、これを乱すような恐れのない社会奉仕活動によってのみ、その標準化を図ること。
       
  4) 奉仕するものは行動しなければならない。従って、ロータリーとは単なる心構えのことをいうのではなく、また、ロータリーの哲学も単に主観的なものであってはならず、それを客観的な行動に表さなければならない。そして、ロータリアン個人もロータリー・クラブも、奉仕の理論を実践に移さなければならない。
    そこで、ロータリー・クラブの団体的行動は次のような条件の下に行うように勧められている。いずれのロータリー・クラブも、毎年度、何か一つの主だった社会奉仕活動を、それもなるべく毎年度異なっていて、できればその会計年度内に完了できるようなものを、後援するようにすることが望ましい。この奉仕活動は、地域社会が本当に必要としているものに基づいたものであり、かつ、クラブ会員の一致した協力を必要とするものでなければならない。これは、クラブ会員の地域社会における個々の奉仕を奨励するためにクラブが継続的に実施しているプログラムとは別に行われるべきものとする。
       
  5) 各ロータリー・クラブは、クラブとして関心があり、またその地域社会に適した社会奉仕活動を自主的に選ぶことについて絶対的な権利をもっている。しかし、いかなるクラブも、ロータリーの綱領を無視したり、ロータリー・クラブ結成の本来の目的を危うくするような社会奉仕活動を行ってはならない。
    そしてRIは、一般的な奉仕活動を研究し、標準化し、推進し、これに関する有益な示唆を与えることはあっても、しかし、どんなクラブのどんな社会奉仕活動にせよ、それを命じたり禁じたりすることは絶対にしてはならないものとする。
       
  6) 個々のロータリー・クラブの社会奉仕活動の選択を律する規定は別に設けられていないが、これに関する指針として以下の準則が推奨されている
       
    a) ロータリーの会員の数には限りがあるので、ロータリー・クラブは、市民全体の積極的な支持なくしては成功しえないような広範囲の社会奉仕活動は、ほかに地域社会全体のために発言し、行動する適切な市民団体などの存在しない土地の場合に限り、これを行うこととすべきであり、商工会議所のある土地では、ロータリー・クラブはその仕事の邪魔をしたり、横取りをしたりすることのないようにしなければならない。しかし、ロータリアンとしては、奉仕を誓い、その理念の教えを受けた個人として、その土地の商工会議所の会員となって活動すべきであり、また、その土地の市民として、他の善良な市民と一緒に、広くすべての社会奉仕活動に関与し、その能力の許す限り、金銭や仕事のうえでその分を果たすべきである。
       
    b) 一般的に言って、ロータリー・クラブは、どんな立派な事業であっても、クラブがその遂行に対する責任の全部または一部を負う用意と意思のない限り、その後援をしてはならない。
       
    c) ロータリー・クラブが奉仕活動を選ぶ場合に宣伝をその主たる目標としてはならないが、ロータリーの影響力を拡大する一つの方法として、クラブが立派に遂行した有益な事業については正しい広報が行われるべきである。
       
    d) ロータリー・クラブは、仕事の重複を避けるようにする必要があり、総じて、他に機関があり、それによって既に立派に行われている事業に乗り出すようなことをしてはならない。
       
    e) ロータリー・クラブの奉仕活動は、なるべく現存の機関に協力する形で行うことが望ましいが、現存機関の設備や能力が目的の遂行に不十分である場合には、必要に応じ、新たに機関を設けることにしても差し支えない。ロータリー・クラブとしては、新たに重複した機関をつくるよりも、現存の機関を活用することのほうが望ましい。
       
    f) ロータリー・クラブはそのすべての活動において、宣伝者として優れた働きをし、多大の成功を収めている。ロータリー・クラブは地域社会に存在する問題を見つけ出すことはしても、それがその地域社会全体の責任にかかわるものである場合には、単独でそれに手を下すようなことはしないで、他の人々にその解決の必要を悟らせる努力をし、地域社会全体にその責任を自覚させて、この仕事がロータリーだけの責任にならないで、本来その責任のある地域社会全体の仕事になるようにしている。また、ロータリーは、事業を始めたり、指導したりするが、一方、当然それに関心をもっていると考えられる他のすべての団体の協力を得るように努力すべきであり、そして、当然ロータリー・クラブに帰すべき功績であっても、それに対する自分のほうの力を最小限度に評価して、そのすべてを協力者の手柄にするようにしなければならない。
       
    g) クラブがひと固まりとなって行動するだけで足りるような事業よりも、広くすべてのロータリアンの個々の力を動員するもののほうがロータリーの精神によりかなっていると言える。それは、ロータリー・クラブでの社会奉仕活動は、ロータリー・クラブの会員に奉仕の訓練を施すために考えられたいわば研究室の実験としてのみこれを見るべきであるからである。(23−34、26−6、36−15、51−9、66−49)
       
     

出典文献

     

『手続要覧』 2001年版 P77〜79

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